第3章 番外編①~みなさんの前で--!
そういえば先生、静かだな…と、カイ様と話している間にふと私は思った。でも、思い出したのは一瞬で、またすぐに話に戻った。
しばらく話していると、すぐ隣に座っていたハイネ先生が私の名を呼んだ。
「セアナさん」
私は先生の方へ、体を向けた。
「ん?先生、どうかしましたか?」
なぜか先生は私の方へと手を伸ばす。
ちゅ。
私と先生の唇が重なる。先生は手を添えたまま、顔だけ離すと口を開き始める。
「せ、先生っ。ええと、あの」
私は頭が回らずに、単音だけを発する。
「セアナさん。私にも構ってくれませんか。」
「あ……」
私はまだ余韻の声を零す。この空間の視線が、私達に集まっているということもあって、私は赤みを帯びていく。
「こうした方が一番良いかと。セアナさん、こういうのに弱いと思いまして。あの、セアナさん、返事は?」
「……っは、はい!」
やっとの思いで返事を返す。一番良い方法だからって…!先生、私がこういうのに免疫無いからって、あえてしなくても…!
この中では一番、恋愛に興味があるであろうリヒト様はイジりにかかる。
「先生、ダイタンだね〜。そんなに寂しかったの?あ、まさか嫉妬しちゃったとか?いや〜、面白いモン見れてホント楽しいよ。」
リヒト様は『あ、セアナちゃん可愛いかったね〜。』とだけ付け足して、からかい笑いをする。
「ぃ、いえ……そんな…」
私は簡単な人間だと思う。たった一回、
『可愛い』と言われただけでまた赤くなるのだから。
他の三王子はぽかっとしていた。おそらく、純粋すぎて何が起こったか分かりきれていない・あまりの出来事に反応しきれてない…などの理由があるからだろう。カイ様とレオンハルト様は前者、ブルーノ様は後者だろう。
ハイネ先生はふぅ、と息を吐いて、仕切り直すように言う。
「さて、もうそろそろお開きにしましょう。それぞれしたいことがあるでしょうし。セアナさんは、後で私の部屋まで来てください。」
「……っあ!はい、分かりました。」
ぼーっとしていたこともあって、返事が少し遅れてしまった。私は一体、何があるのだろうと思った。