第4章 兄妹(姉弟)が物話のキーポイントってありがちだよね
7月5日 木曜日 晴れ
はぁ…。昨日と同じく掃除を終え、帰り支度をしながら、私は本日何十回目となるため息をはいた。
銀八先生が皆の前で2人乗りを叱ったせいで、今日は「針のむしろ」だった。
何か言いたげたクラスメイトの視線が痛かった。いっそのことツッコんでくれた方が楽なのに、皆何かに、何かって高杉君にだろうけど、遠慮して遠巻きにヒソヒソしていた。
「おい、どうした」
「あ、いえ、なんでも」
第1駐輪場へ向かう高杉君が振り返った。
「第2、行くんだろ」
「あぁ…それいいの。私、しばらく歩いて帰るの」
私は昨日の事を思い浮かべた。
高杉君と別れて家に入った私を出迎えたのは、今年銀魂高校に入学した弟だった。
「姉ちゃん、今、あの高杉晋助さんと2人乗りしてたろ。何だよ、どういう事⁉まさかデキてんの?」
「は?何言ってんの。ってかあんた見てたの?」
「窓から見えたんだよ。それよりマジで出来てんの?」
「違うわよ!」
私は手短に事の次第を説明した。
聞き終わった弟はニヤッと笑った。
「姉ちゃん、俺が今自転車無いの知ってるよね」
「鍵かけ忘れて、駅前で盗まれたんでしょう」
「そーそー。親父も母ちゃんも自分の責任だって、買ってくれないからさー。姉ちゃんの自転車くれよ」
「嫌よ。自転車乗れなくてこの事態なんだからね」
「ふーん。男子と2人乗りしてたって、親父に言っちゃおうかなぁ」
「……あんたね」
「まーまー、もう少しで夏休みだしさ、バスあんじゃん」
「…夏休みに海行ったりするから、お小遣い貯めたいのよ」
「海行くなら水着でしょ、歩けばダイエットになるじゃん。きれいに着て、高杉さんに見てもらえばいーじゃん…って、顔面に鍵投げるなよ」