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ハツコイ

第10章 流れ星に願い事3回唱える時って焦るよね


銀八先生が今度は少し、声を張る。
「はい、騒がない。皆ちゃんとお願い事しなさい。3回、心の中で繰り返すんだぞ。もし、特にお願い無い人は、先生が買ったサマージャンボ宝くじが当たるように、お願いしてもいいからね」
…何言ってるんだか。
私は流れる星を見つめて、昨日の夜決めたお願い事を、また少し考えた。
これから、受験とか進路とかいろいろあって、卒業もして、皆離れていく。
私は家から通える大学に推薦入学の予定だけど、高杉君が卒業後にどうするのかとか、まだ聞いてない。
だから、もし距離が離れても、別れないでいたい。そうお願いしようと決めてきた。
けどさっき、1人でいる高杉君を見たら、そんな事を考えているのは私だけで、高杉君は何とも思ってない気がしてしまい、自分のお願い事が子どもっぽく思えてきた。
どうしよう…。でも、私のお願いは私のものだし、良いよね。
流れる星を見上げ、なんとなく、軽く目を閉じる。
(高杉君とずっと一緒にいられますように)
(高杉君とずっ…)
不意に、唇に熱く、柔らかな物が触れ、私は思わず目を開けた。
「な、え、た、高杉く…」
慌てる私に、高杉君は人差し指を立て、静かにするように示した。
「見られちゃうよ」
小声で咎めた私に、高杉君は顎で皆を示す。
「誰も見ちゃいねぇよ」
確かに皆、空しか見てないけど。
「…お願い事、途中だったのに」
「あ?何だったんだよ」
「それは、別に、そんな…高杉君は、何か無いの?その、お願い事」
ボソボソ口の中でつぶやくと、高杉君はうつむく私をのぞき込む。
「俺の願いは割と叶ってるし」
「え?」
「欲しいと思ったモンは、ちゃんと手にしたしな」
そうニヤッと笑い、私の頬を撫でる。
「で?の願いは何だよ」
「…それは、その…」
「星になんて願うんじゃねぇ」
高杉君はそう言い、左手の小指を私の右手の小指に絡ませた。
「の願いなら、俺が叶えてやるし、守ってやる」

星がまたひとつ、流れる。
お願い事は、やっぱりある。
この気持ち、今17歳の私が17歳の高杉君を好きな気持ちがずっと残りますように。
大人になって、いろんな事が変わっても、心の隅っこで良いから、この気持ちがこのままあり続けますように。
それだけを、私は何度も繰り返した。
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