第3章 全校生徒が帰宅した後、保健室にて
「坂田先生、出来んしたよ」
「いやーありがとうございます。それにしても、紙で切ると痛いっすねー」
銀八は月詠に貼ってもらった、左手小指の絆創膏を撫ぜた。
「それより、本当に良いんでありんすか」
「え?あぁ、高杉とっすか。いーじゃないですか、2人乗りくらい。青春青春。本人達には明日ちゃんと叱りますから。月詠先生も、他の先生には内緒にして下さいよ」
「とんだ不良教師じゃ」
月詠は苦笑し、煙草を手に立ち上がり保健室の戸を開ける。
銀八もそれに続き、廊下へ出た。
「あれ?月詠先生喫煙室行かないんすか」
外へと繋がる戸へ向かう月詠は、唇に人差し指を当てた。
「高杉達の事言わないかわりに、これも内緒にしてくんなんし」
「はい?」
「喫煙室だと理事長やらと一緒になる事があって、くつろげなくてな。第二駐輪場はいつ行ってもほとんど誰もいない。私の喫煙室でありんすよ」
「あーなるほど。月詠先生も不良教師じゃないすか」
「そーじゃな」
と、笑い合う2人の姿を見ていたのは、1番星だけでしたとさ。
高杉君、どこが不良の溜まり場だって?