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ハツコイ

第1章 係決めの日に休むとロク事ない


教室にたどり着き、あとは?という顔をする高杉君をまともに見れないまま、私は教室の隅にある道具箱を取り出した。
特に掃除項目にはないが、個人的に気になっていた。文房具などを忘れた人の為にいろいろ入っているのだが、落とし物や、ほとんどゴミみたいな物、何故か銀八先生の甘味屋スタンプカードまで入っていて、かなりゴチャゴチャなのだ。
「あとはこれだけだから、大丈夫。高杉君先帰って良いよ」
そう言ったが、何故か高杉君は自分の席に座り、携帯電話を見始めた。
なんで…?
仕方なく、私は意識を道具箱のみに向け、手を動かす事に集中した。
再び沈黙の教室。だからツライって。
病み上がりだし、さっきの風でホコリ吸ったのと、緊張し過ぎて喉カラカラで痛いし。
私は出来るだけ小さく咳をした。
一度するとクセになり、静かな教室に私の咳払いが響く。
ガタッ
突然の音に顔を上げると、高杉君が席を立ち、無言で教室を出て行った。
え?何急に。あ、帰ったのか。だよね。
「はぁ〜〜…ケホッ…」
全身の力と共に魂まで抜けそうなため息と咳をしながら、私は道具箱を片付け終えた。
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