第1章 係決めの日に休むとロク事ない
ゴミ捨て場に持って来たゴミを捨て、教室に引き返す。終始無言。
…ツライ、空気がツライよ。
私は自分の足元だけを見て、トボトボ歩く。
と、突然強い風が吹いた。砂ぼこりが舞う。
「ひゃあ!」
悲鳴をあげて必死でスカートを押さえる。
高杉君にパンツ見られたりしたら、もう学校来れない。というか死ねる。
風がおさまり、砂ぼこりが入らないように閉じていた目を開けた。
私にかまわずさっさと歩いているかと思ったが、意外にも高杉君は近くに立っていた。
「おい」
「え、はい」
「髪」
「髪?」
言われて気づいた。
胸下まで伸ばしている私の髪が数本、風に舞った時に校庭の桜の枝にに引っかかっているのだ。
「もぉ、ヤダ」
私は思い切り髪を引っ張ったが、痛いだけでどうにもならない。
腕伸ばしても届かないし。最悪。
途方にくれていると、高杉君が枝に手を伸ばした。
「じっとしてろ」
そう言って、私の髪を枝から驚くほど丁寧にほどいていく。
というか、近い。ヘタしたら、私の左耳に高杉君の手が当たりそうだ。
めっちゃドキドキするんですけど。
「取れたぞ」
ほとんど耳元で言われ、心臓が飛び跳ねる。
「あ、ありがとう」
「ん」
ここから教室まで、ほとんど記憶が無い。