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ハツコイ

第9章 相手が話してるのに電話切るのはダメ、絶対


あぁ、だから話し中だったんだ…。
っていうか、なにそのやりとり。
「高杉ね、が痴漢に襲われて、今一緒に** 警察にいるん…くらいで電話切っちまったよ。すっげー勢いで来るんじゃねぇの」
「…」
「高校生は達自身が思ってるより子供だけど、先生達が思ってるより大人だろうし、あんまり固い事言うのは好きじゃないから、一言だけ。ちゃんと聞きなさい」
「…はい」
「は女の子なんだし、自分の事は大切にしなさい。で、大切にしてもらいなさい。高杉は不良だけど、悪い子じゃないから」
銀八先生はそう言って、私の頭をポンっと軽く叩いた。
「けど先生、PTAに怒られたくないから、高校生らしい清いお付き合いにしなさいね」
「……」
「ちょっとぉ、何その沈黙。もしかして、お前もう、あれか、百恵ちゃん的な、ひと夏の経験をしちゃたわけ!?大人の階段登っちゃったわけ!?それ先生ちょっとショックなんだけ…」
バンッ!
銀八先生の叫び声は、ガラス戸が勢い良く開く音に遮られた。
「高杉ー、ドアの開け閉めは静かにしなさい。警察の方々が驚いちゃうだろ。あと、お前、チャリで来た?ちゃんと駐輪場に止めただろうな。ここ警察署だからね」
小言を言う銀八先生を完全にスルーして、高杉君は足早に私の前に来た。
「、大丈夫か?」
「高杉君、走ってきたの?息切れてるよ」
「あ?あぁ、タクシー、捕まえたけど、渋滞してたから、途中で降りて、走った」
「大丈夫だよ。私は」
「…そうか」
そう言って、私の頭を優しく撫でる。
「高杉く…」
「あの、君達、先生いるの、知ってる?」
あ…。
「ちょっ、その顔、今絶対先生の存在忘れてただろ!それと高杉、君達まだ高校生なんだから、もっと高校生らしいお付き合いっていうのをだな…」
銀八先生の言葉は、今度はあの美人婦警さんに遮られた。
「先生、静かにしてください」
「あ、すいません」
婦警さんは銀八先生を一瞥すると、私に向かって微笑んだ。
「大変だったわね。あら、彼氏も来てくれたのね。ちゃんと送ってもらって、今日はゆっくり休みなさい」
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