第7章 ビキニと下着の違いはまだ解決していない
むくれた顔で戻って来た神楽ちゃんと、妙ちゃんと新八君と私は、浅瀬でビーチボールを投げて遊んだ。
神威さんと高杉君は、パラソルの下で何か話している。
波で濡れるからと、パーカーを返そうとしたけど許されず、結局私はずっと高杉君のパーカーを羽織っている。
黒の半袖パーカーからは、微かにタバコと、香水の匂い。
「そういえば近藤君は?」
聞きながら妙ちゃんにボールを投げる。
「あんまりうるさいから、沈めたわ」
笑顔で胸元に投げ返される。力込め過ぎじゃない?痛いよ。そして沈めたって…。
妙ちゃんの視線の先を見たら、頭に五重塔みたいなたんこぶを作った近藤君が波間に漂っていた。
「って、えぇぇ!?近藤くーーん!」
新八君が慌てて走って行く。
「あれれ、眼鏡の子、抜けちゃったの?じゃあちょっと僕入れてよ」
ニコニコして近づいて来た神威さんを見て、神楽ちゃんは露骨に顔をしかめた。
「なんで神威来るネ」
「何だよその言い方ー。お兄ちゃんはちゃんに用があるの」
え、私?
「妙ちゃん?だっけ、ちょっと神楽の相手してあげてて」
神威さんは私の手からボールを取ると、神楽ちゃんに向かって思い切り投げた。