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ハツコイ

第7章 ビキニと下着の違いはまだ解決していない


新八君の指す方を見ると、近藤君が大きく手を振っているのが見えた。…分かりやすくてなにより。
妙ちゃんは塗って来たからと言って、新八君と先に浜辺に出て行った。私と神楽ちゃんは日焼け止めを塗りながら、新八君がパシリ化してる件について話した。
「やっぱりちゃんも思ったアルか?」
「うん。大丈夫かなって」
「でも、ゴリは別として、ド不良2人と眼鏡じゃナ、仕方ないアル。本人達にその気は無くてもそうなるアル」
「だよね」
そう苦笑しあった時だった。
「ねーねー、君たち、2人で来てるの?」
見ると、遊んでいる大学生のお手本みたいな2人組が笑いかけた。
短めの金髪と、ちょっと長めの茶髪。
どっちもかなり日に焼けていて、海水パンツにアロハシャツを羽織っている。
「いえ、他の友達も来ているので」
「バカ兄貴もいるアル」
サッと顔をそむけて言ったけど、2人組はかまわず続ける。
「じゃあちょっとだけ、4人で遊ぼうよ。皆とは後から合流すりゃいいじゃん」
「アイス食わない?好きなのおごるよ」
しつこいな。
「…アイス」
神楽ちゃん、そこで揺れないで!
さっさと行こうと決め、まだ話し続ける2人組を無視して荷物をまとめた時、なんだか背後から冷気を感じた。いや、殺気?
神楽ちゃんも同じらしく、思わず目が合う。これは、たぶん…。
恐る恐る振り返ると、笑顔だけど禍々しいオーラが出ている神威さんと、同様のオーラをまとい、笑顔すら無い高杉君が立っていた。
「ウチの妹になんか用?」
「俺の彼女になんか用か?」
2人組の顔から、引き潮の3倍速くらいで血の気が引いていく。
「な、なんでもないッス」
「すいませんでしたぁっ」
叫びながら走り去る2人組を見て、神威さんが笑顔のまま言う。
「もうちょっとしつこくしてたら、殴っちゃったな」
いや、怖いから。やり過ぎでしょそれ。
「なに言うネ神威、アイス買ってくれるって言ったのに」
「お前3歳児なの!?お兄ちゃん恥ずかしいんだけど」
言い合いを始める2人を見ていたら、高杉君にパーカーを肩にかけられた。
「え?」
「俺のだけど、お前それ羽織ってろ」
「なんで?」
「…良いから。脱ぐんじゃねぇぞ」
渋々言うとおりにすると、そのまま腕をつかまれて、妙ちゃん達の所に連れて行かれる。
まだ神楽ちゃんとやり合っていた神威さんが、一瞬、こっちを見て笑った気がした。
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