第7章 ビキニと下着の違いはまだ解決していない
8月3日 金曜日 晴れ
私達は海に来ている。
メンバーは、私、神楽ちゃん、妙ちゃん、新八君、呼んだ覚えは無いけど近藤君、神楽ちゃんのお目付け役とかで神威さん、そして、神威さんが誘った高杉君。
神楽ちゃんと神威さんは、私と高杉君が付き合ってる事を知っているから、まだ良いんだけど、妙ちゃんと新八君や近藤君の前だと何だか緊張するな。
まぁ、近藤君は妙ちゃんしか見てないから良いか。
妙ちゃんには着替えている時にでも話そう。
私は皆の一番後ろを歩きながら、そんな事を考えた。
女性用更衣室はめちゃくちゃ混んでいて、けっこう時間がかかってしまった。
その代わり、妙ちゃんへの交際報告、神楽ちゃんへの進展報告はすっかり済んで、何だか気が楽になった。
「ちゃん、やっぱりその水着の方が似合うナ」
神楽ちゃんに言われて、私は自分の姿を見下ろした。
あの日、手にした白地に花柄のビキニを買う直前で、レジ横にあったビキニに一目惚れしていたのだ。
黒のホルタータイプのビキニは、胸元に同色のレースが縁取られていて、動くとレースが揺れる。
パンツ部分はシンプルだけど、バックプリントで小さく金色の蝶が一羽描かれている。
「本当。胸大きいから、そういうデザイン似合うわね」
と、オレンジ色のワンピーススタイルの水着姿を着た妙ちゃん。
なんか…眼が笑ってない気が。
「あ、ありがとう。2人もすごく可愛いよ」
「う、うん。アネゴも似合ってるアル」
私と神楽ちゃんはぎこちない笑みを浮かべて、3人一緒に更衣室を出た。
「あら新ちゃん」
妙ちゃんが声をかけた方を見ると、所在なさ気な新八君が、ホッとしたような顔をして立っていた。
「やっぱり混んでいたんだね。場所取れたから、呼びに来たんだ」
そう言った新八君の手には、ペットボトルが数本入ったビニール袋がぶら下がっている。
なんか、パシられてない?大丈夫?
ぎこちない笑みを続けていたら、神楽ちゃんが声を上げた。
「あ、私、日焼け止め塗ってから行くアル」
そういえば私も、腕や顔には塗って来たけど、お腹や太ももには塗ってない。
「私も、ここで塗って行く」
更衣室脇にはベンチが置かれたスペースがあり、同じように水着姿の女の子達が日焼け止めやサンオイルを塗ったり、メイクを直したりしている。
「そう?じゃあ、場所はあそこの、赤いパラソルの所だから」