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ハツコイ

第4章 兄妹(姉弟)が物話のキーポイントってありがちだよね


7月7日 土曜日 晴れのち曇り

今日は神楽ちゃんと買い物に来ている。
夏休み中に妙ちゃん達と海に行く為、水着を買うのだ。
「これ、ごっさ可愛いアル」
神楽ちゃんが選んだのは、薄いピンクで、全体にレースがデザインされたビキニだった。
「うん。可愛い。神楽ちゃんの髪色に合うし」
「ちゃんはどれにするアルか」
「ん〜私はねぇ…」
2人して水着を手にしていたら、神楽ちゃんが突然顔をしかめた。
「ゲッ!」
「どうしたの?」
「あれー。神楽じゃん」
声をかけてきたのは、神威さんだった。
同じ工業高校の人だろうか、何人かの男の子と…え、高杉君もいる。そういえば神威さんと友達なんだっけ。
「おい神威、ここはレディーの水着売り場アル。入ってくんなよ」
「えーいいじゃん。メンズ用もあるし」
言い合いを始める兄妹を横目に、私は気になっていた水着を手にした。
白地に青やピンクの花柄のビキニで、胸元と腰にリボンが付いている。
「なになにー。友達はそれにするのー」
私の手元をのぞき込んだ神威さんの顔に、神楽ちゃんのパンチが炸裂した。
「いってー!ちょと神楽、お兄ちゃんにひどくない?」
「ちゃん、バカは無視して行くアル」
「え…あ、うん」
プンプンする神楽ちゃんに手を引かれ、レジに向かいながら、私は高杉君の方を振り返った。あれ?なんか怒ってるの?
友人らしい男の子に、とんでもなく不機嫌な顔をしているのが、視界の隅に見えた気がした。
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