第2章 優しさの意味
森の中に先ほどの賑やかさは無くなり静寂に包まれている。
「…で、何でそんなに怒ってるわけ?何かお前にした?」
よほど事を大きくしたくないのだろう。
呑気に天気の話でもするように聞いてくるカカシに、私は失望している。
彼は今、優しく聞いている。
彼が優しい時は、
事を煽てず、過ぎ去り、
早く終わるのを待つ時だ。
何故、分からなかったのだろう。
何年彼を見てきた?
何年彼を好きだった?
何年、彼を、見ていなかった?
理想のフィルターで見始めたのは、私だ。
勝手に幻想を抱き、
彼に押し付けていた。
カカシは、私を選ばない。
もう彼が私を好きになることは二度と来ない、そう確信した。
小さく溜息をついて、
彼に意を決して伝えていた。
「カカシが、好きなの。
だけど、カカシは、私なんかどうでもいいみたいね。今日分かった。」
「は?俺が好き?、嘘でしょ?」
さっきまで殺意を向けていた
相手からまさか愛の告白をされるとは思わず、唖然としている。
"どうでもいいわけないだろ、おまえが好きだ!"
とか、恋愛漫画でも使わない下手なセリフを言って欲しいわけじゃない。
「慰めて欲しいわけじゃない。
失望をしたから、告白したの。」
優しいなんて無責任だ。
どうでもいい人間に告白されて、
さぞ、面倒に感じているはずだ。
「、お前をそんな風に見れない。」
はっきりフラれて
乾いた笑いが込み上げ、
一気に悲しみが広がった。