第3章 耽美主義
「へぇ…!会ってみたい!いつか、会えるかなぁ…」
「いつか、を我等の故郷に招待せねばならないな。
きっと天女とも気が合うはずさ」
幸村はわざとらしくむっすりと顔を顰め、照れ隠しかちびちびと舐めるように酒を呑んでいる。
しかし自分の彼女が褒められるのは嬉しいようで、たまに口元が緩むのを隠せていない。
好きな人がいるって良いことだな、なんて思いながら…自分は果たして周りからどう見えて居るのだろう、とふと気にかかる――
その時、屋内なのにゆらり、と影が私を覆った。
信玄様はふ、と笑い目を細め。
佐助くんは眼鏡をきらり、と煌めかせ。
幸村は赤い顔から一転、心做しか少し青白くなった顔で…皆が私の後ろに目線をやっている。
「ならば、遠く信濃へ赴くか。
待ても出来ない、躾のない犬でも歩けばそのうち着くぞ」
その声に、弾かれたように振り返る。
見下ろされてきゅん、となるなんてどうかしてるな、と思いつつ。