第3章 耽美主義
「幸は、故郷の信濃に恋人を残してきているんだよ。
俺のために苦労をかけて…
すずと幸には申し訳ない事をしているな」
「なーに言ってるんですか、信玄様。
あんたは俺がついてないと駄目でしょう!」
にこにこと微笑む信玄様が、自分の言葉に更に照れて赤くなる幸村の頭を柔らかく撫でた。
微笑ましく見守りながら、しかし興味は留まらない。
「すずちゃん!どんな子なの!?」
「あ?ふ、ふつーの女子だよ…」
「気が利いて、奥ゆかしいんだがな。
強いんだ」
「…強い?」
「強いらしいよ、さん。想像もつかないけれど」
幸村が照れ隠しか、ごくりとまた盃を煽る。
それを尻目に続きをせがむと、ちらりと睨まれたけど今は怖くもなんともない。