第11章 現実主義
ちゅんちゅん、ちちち、と。
小鳥の囀りと、射し込んでくる朝日に漸く目が覚める。
夢見の悪さに跳ね起きた、じっとりと汗ばんだ肌が着物に吸い付き気持ち悪い。
そう言えば、着替えの類なんかも全て宿に置いてきたっけ…
佐助くんとのやり取りを、もう随分前のように感じていると。
、起きているか、と控えめな声がかかる。
慌てて起き上がって、簡単に身支度を整えた。
「おや、起きていたか。寝起きは良いようだ」
「はっ、はい!!…おはよう、ございます」
襖が開いたそこには、光秀さんが朝から何とも涼し気な表情を纏って立っていた。
さっき汗を気にしていた所なのに、とあわあわとする私を尻目に、光秀さんは口を開く。
「朝餉を共にとろうと思ったが…
その前に湯浴みをしたいだろう。
準備をさせたからおいで」