第2章 主情主義
「何はさておき、顔でしょ」
私の答えに、幸村は思い切り嫌そうな顔をした。
どうやら答えがお気に召さなかったらしい…けれど、彼は目敏く私の空いた盃に気付き、お酒を足した。
流石訓練されきった部下は違うな、上司もさぞ鼻高だろう。
折角注いでもらったのだからと、持ち上げた盃をくいっと煽る。
「お前に聞いた俺が馬鹿だったし…お前は飲みすぎだ」
「いやいや、まだまだ序の口でしょ?ところでこのお酒、飲みやすいね!」
割ときついんだけどな、と幸村が徳利に鼻を近づけるのを横目に、もう一口。
この時代のお酒は、濾過されていない濁った白色の液体だった。
現代で言う原酒に近いのかな、米の甘みも残っていて。
ぐい、と煽るたびにかぁっと身体中を廻る熱がたまらない!
おつまみがないと悪酔いしそうだけれど、幸村が持ってきてくれたもろみ味噌もこれまた美味しい!
幸村がモロにアルコールの臭いを喰らったのか、うえ、と言いながら徳利を遠ざけたのを笑いながら。
私は、先程の彼の問いかけについて、答えをもう一度考えていた。