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【イケメン戦国】月の兎は冬に焦がれる

第8章 懐古主義





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「もしもし?えー、ほんとですかぁ!

行きます!ぜーったい行きます!
ありがとうございまーす」




それからの私は、全てが仕事を中心として動くようになった。
鞠さんの教えでは、既存の追客が営業の基本だ、と言っていたけれど…
信頼関係が築けていれば追客しなくても向こうからリピートしてくるというもの。


それより、新規顧客の開拓…
それも、出来ればコネのある人の方が成約への近道なのだと気付いてからは速かった。


コミュニケーションは飲みニケーション。
一緒に飲めば仲が深まる、というわけで今日も飲み会に積極的参加だ。
お客様がお客様を紹介してくれて、芋づる式に人脈は広がる。
何かに胡座をかいているらしい、主任を尻目に私はざくざくと契約を重ねていく…


しかし、それではただのイヤミにしかならないと分かっている。






「また成約か?やるなぁ」
「はい、主任のご指導のお陰ですー」


「おいおい、何もしてないぞ!

でもまぁ、ちゃんと書いといてくれよ、な」



本社への報告書に、主任のご指導の甲斐あって、と毎回のように書き添える。
…実際は何も聞いてないけど。


私の契約数が上がるにつれ、私の評価も、ついでに主任の評価も上がっていく。
年功序列だとか何だとか、とにかく組織とは息苦しい。
なら、順序を踏めばいい話──





──そしてついに、待ちに待ったその日は訪れる。





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