第7章 実利主義
「お、今日の飯もよく出来てるじゃねぇか。
色合いも盛り付けもいいぞ!」
眼帯に、蒼い目が印象的な彼は料理男子なのか、器を手に取りしげしげと観察している。
「俺用に七味の筒を?…あんた、気が利くね」
七味の瓢箪を抱えて礼を言う彼は、鋭い目つきだけれど何処か可愛らしい。
「秀吉様、お茶が未だですね!お持ち致します」
「大丈夫だ、お前は座っておけばいいぞ、な?三成」
女性と見まごう程に美しい彼と、なんとも優しそうな主人らしき男性はにこやかに談笑している。そして、信長様の次に控えている男性…
白銀の髪がさらさらと艷めく下に、鷹のように鋭い琥珀色の瞳。
これまた作り物の様に美しい人が、こちらをじっと見ているのに気づく。
食事が未だだったかな、と思い当たるけれど、彼の前にもとっくに配膳は成されている。
しかし彼が目配せをした先、彼と向かい合うような席には誰もいない事に気付く。
どうやら配膳も未だらしい…
人垣を縫って進むと、その彼が空いた席を指し示してくれた。
「彼奴もすぐに戻るだろう。そこに置いてやってくれ」
「畏まりました!」
優しい言い方から察するに、此処が姫の席なのだろう。
ちょうど良かった、戻って来られたらご挨拶とネタばらしをしよう、と…
主のいない席に配膳を進めていく。