第12章 ごはん/食事【降谷夢/警察学校時代】
そして夕方。屋上に呼び出して4人を正座させた。
「私が妊娠したって言いだしたのは誰」
「「萩原と松田」」
太陽光に照らされた地面はとても熱いだろうに。
声をそろえて伊達さんと零が松田さんと萩原さんを指さす。
「なんで私が妊娠したと思ったの」
「吐き気がするっていうから」
「そうそう、三食食事をとってるお前が」
「あと、夜の営みが激しそうだったから」
「……死刑!!」
どうどう、とヒロくんが振りかざす鞄を取り上げて。
「…で?伊達さんはまだわかる。なんで零まで振り回されたの」
「いや、ちょっと…思い当たるところが」
「っ…思い当たるところはない!ちゃんと避妊してるでしょ!ばか!!」
ヒロくんは笑ってるし、堪えきれずに他の4人も笑ってるし。
「それに、生理はつい先日終わったばかりなので!ご安心ください!」
「…じゃあ、本当にただの夏バテなんだな?」
「だから言ってるじゃない」
「それなら、ちゃんとご飯食べないとだな」
切り替えた零が自信満々に立ち上がる。
「もう終わりってことでいいんだよな?」
「いや、私なにも言ってないし」
零が立ち上がるとみんな立ち上がってずらずらと歩く。
「どこ行くの?」
「食堂。確かにここ最近のメニュー、結構重かったし。俺が作ってやるからちゃんと食べろ」
降谷の飯!!と興奮する男たち。
零が嬉しそうに私を見るけど…少しだけひっかかる何か。
「…もし、私が本当に妊娠してたらどうするつもりだった?」
「結婚するつもりだったけど?」
「そっか…ふふっ、そっか」
なんだか急に元気がでてきた。
我ながら単純だなと思うけど、そういうことなのだ。
食堂で働く叔母様方を口説くのが得意な零と萩原さんにヒロくん。
二言返事で許可をもらって台所を使う零に、それを待つ私たち。
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