第12章 ごはん/食事【降谷夢/警察学校時代】
萩原さんと松田さんと食堂に行ったけれど。
「ごめん、お腹すいてないから先に寝るね」
「体調でも悪い?大丈夫?」
「…ちょっと食べ物の匂いで吐き気する感じ。明日もあるし早く寝ますね」
昼間は散々な訓練で疲れているはずなのに、食堂の匂いでやけに吐き気がした。
夏バテだろうか。
たるんでいる証拠だな、と考えていれば…なぜか焦る目の前の二人。
「大丈夫か?」
「歩けるか?」
「…いや、なんですか、気持ち悪いんですけど」
「まぁ、まぁ、早く寝ろって」
「部屋まで送ろうか?」
「………大丈夫デス」
なんなのだ。
私を女子寮の入り口まで見送る二人に、まったく意味がわからないまま部屋に帰る。
「あれ?珍しいね、早い時間に戻ってくるの」
「ん~…ちょっと体調悪くて」
「夏バテ?気を付けてね」
「大丈夫ー、ありがと」
そう、これが普通の流れで。だから、あの二人が何を考えているか分からなかったのだ。
翌日。
昨日に引き続き体調不良。明らかに夏バテだな、と食堂には寄らずにスポーツドリンクとアイスを食べた。
学校で、伊達さんに荷物を持たれて、松田さんと萩原さんには昨日同様どこに行くにも見送られて、零は目を合わせるたびに焦った顔をして私の体調を気にしてくる。
「…ヒロくん、みんなの様子がおかしい。特に零が」
「ああ、気にしないで大丈夫。昨日ばかなこと話してたから、その名残。それより夏バテ?大丈夫?」
「みたい。今年特に暑いから普段ならないんだけどさ…たるんでる証拠ですね」
「そんなことないと思うけど。でも、それ早くあいつらに言ってやったほうがいいかも」
「…私夏バテなんです~たるんでるんです~って?」
「違う違う」
〇〇が妊娠してるって話をあいつらが昨夜してたから、と耳打ちされて。
「はああああ!!??」
思わず声が裏返って大きな声を出してしまった。
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