第12章 ごはん/食事【降谷夢/警察学校時代】
「〇〇、顔色よくなった?」
「そりゃ、愛のパワーをいただいたので」
「惚気か」
「次回から馬鹿なことを零に伝える前に私に言ってください」
「言えるか」
「そうそう、デリカシーが」
「どの口が言う」
「まぁまぁ、落ち着けって」
「大体なんで伊達さんまで騙されるの!」
「いや、…避妊していても100%じゃないだろ?」
「それもそうかもしれないけど…って違う!そういうことじゃない!」
騒いでいたら零が両手いっぱいにお皿を持ってきて。
「夏バテ対策メニュー」
ポークビーンズに豚肉と山芋のレモン塩だれ炒め、夏野菜たっぷりサラダ。
「「「「「女子か」」」」」
思わず声がそろった。
「いらないなら俺が食べるけど」
ニコニコ笑いながら怒り気味に返されて慌ててお皿を受け取った。
「一人で食べる量じゃないでしょ」
「っていうかよくこんなに食料つかっていいって言われたな」
「ああ、もちろん後で買い足しておくって言ってある。松田と萩原の金で」
「賛成」
「「なんでだよ!」」
零が作ってくれたものは特別おいしい。
それは、私たちが誰よりも知っている。
「こんな料理毎日食べられるならお嫁にもらってほしいよ、ほんとに」
「?他の男の嫁に行く気なのか?」
「いえ、そういうことじゃないです」
食欲がなかったばすなのに、零の作ったごはんがおいしくて。
特別な気持ちがこもった料理がうれしくて。
「こんなことなら毎日夏バテになって零にご飯作ってほしい」
「馬鹿言うな」
コツン、と頭を小突かれて…笑いあった。
おかげ様で次の日からいつも通りの体調に戻って。
いつも通りの日常に戻った。
【fin】