第22章 キスの日/5月23日の花麒麟※沖矢(赤井)夢
「やだっ、やっ……!! 赤井さん……っ!!」
待って。
赤井さんの太くて長い指が、蜜口に沈む。
的確に私のイイところを責めるその指にあえぎ声を堪えられない。宙に足が浮いて、赤井さんが下半身を晒して……
「悪いな」
どうして避妊具を用意してるんだって。
どうして。
どうして。
「君が好きだ」
抱いてるときの睦言なんて、絶対信じない。
「やっ、んぁっ! あか、いさん…!!」
腰が、乱暴に打ち付けられて子宮を抉るんじゃないかってほど太くて、長くて…
「ンぅぅぅぅっっ!!!!」
「はっ…、もうイったのか」
「やっ、だ…あかい、さ…っ」
「〝シュウ〟」
やだ、やだ。
「呼べ」
…この人は、苦手だ。
今にも言う通りに呼んでしまいそうな己の口を堅く結び、与えられる快感。
解放された自身の両手は口を押さえて。
赤井さんが腰を乱暴に掴み、その精を吐き出すまで行為が続く。
己の手を噛むように堪えていた声は、赤井さんが向き合うような体制に変わってからはずっと口づけていた。
宙に足が浮いて、不安定すぎるその体制にしがみつくように首に腕を回した。
口づけが毒のようだった。
◇ ◆ ◇
そこからベッドに連れ込まれて、第二ラウンド。
どうしてかこの人に逆らえない私の体はやられたい放題。
「……ぜったい、二度と赤井さんになんて考えない……っ!!」
行為を終えて勝手にシャワーを浴びて帰ってきた私は赤井さんに宣言するかのように言えば、くくっと喉を鳴らして笑われた。
「約束のものだ」
そう言って渡されたグラスには、丸い氷に茶色の液体が光る。
先に言っていたバーボンウイスキー。
そのピートの効いた香りは、私の気持ちを落ち着かすようだから…本当に、困る。
「赤井さんとはもうシませんって言いました」
「そうだったか?」
シないと言っても繰り返しているこの関係はもうはっきりさせたくない。
ウイスキーを喉に煽れば、強いアルコールと、その香りが口の中に広がる。
「……アルコール消毒をしてから、帰ります」
貴方とのキスは消毒してなかったことにするとムキになって言えば、目をきょとんとされて、また笑われたのだった。
fin