第10章 二度目の初夜/警察学校組【降谷贔屓オール夢】
「〇〇がどうして拒んでいたか、俺たちに話してくれたみたいに言って」
「…ヒロ、悪い…後は大丈夫だから」
「落ち着いてよかった」
じゃあ帰るから、とヒロくんが私の頭を撫でようとすれば零が強く抱きしめてきて。
「これ、俺のだから」
「…じゃあ、また明日」
「明日帰らなかったら連絡する」
「さすがに帰ってこい」
考えとく、と零が笑って答えるから…気分は複雑で。
ヒロくんが出て行ったホテルの部屋。
零と二人きりになって。
「俺が浮気してたってどういうこと?」
零が優しい声音で。
「不安にさせたせいで、ずっと外にいたって…俺に、抱かれたかったって本当か?」
零からの問いかけに、答えられなくて俯いた。
「〇〇の言葉で聞かせて」
「……零、シャワー浴びてきて?」
「なんで今」
「風邪ひいたら困るから」
「…俺の質問に答えてくれたら入るよ」
零が、少しだけ怒っていて。
「…俺が嫉妬しないと思った?」
「え?…零が、嫉妬?」
「日曜、俺の誘い断って伊達と出かけてただろ?」
「…相談に、乗ってもらってた」
「〇〇が倒れた日、松田とも出かけてた。倒れた〇〇のこと、どれだけ心配したと思う?」
「うん…」
「喧嘩して、言い過ぎたと思ったら今度は萩原と帰ってくるし」
「それは…っ、みんな先に帰ったから」
「昨日はヒロだろ?」
「…ヒロくんとは、どこにも行ってない」
「キスした」
「してない…手で口塞がれただけだし」
まぁ、あいつがするわけないかと納得する零がいて。
「…それに、私その後零探しに行ったよ」
「それは、ヒロから聞いた」
そこからどうしたんだ、って聞かれて。
「……零、シャワー浴びてきて」
「なんで」
「…抱いてほしいからって言ったら、頷いてくれる?」
零が驚いた表情をして、強く抱きしめてきた後、小さく頷いて離れた。
抱いてほしい、そんなことをやっと素直に言えた日が彼との最後になるのだろうか。
…いや、でも…零が嫉妬した、というのなら…一回限りの浮気、なのだろうか。
浮気。
浮気。
「…わかんないよ、零以外と付き合ったことないもん」
私が知っている付き合い方は、零だけなんだから。
浴室から聞こえるシャワー音に、心が締め付けられた。
→