第10章 二度目の初夜/警察学校組【降谷贔屓オール夢】
「乱暴されそうになったらすぐに呼んで」
「…ありがと」
二人に背を向けてバスローブを着て、振り返ると零が、泣きそうな顔してるから。
零が傷ついているから。
ヒロくんが心配そうに私を見るけど、大丈夫だから、と笑って言えば頷いてシャワーを浴びに行った。
「…零、なんで泣きそうな顔してるの」
「そんな顔に見えるなら、気のせいだ」
「……体、冷えてる」
「誰かさんが返信しても電話しても連絡とれなかったからな。ヒロと二人で探してた」
私をよく知っている二人だから、と。
「結局あいつのほうがお前のこと、よくわかってたな」
「…それは、そうかもしれないけど………」
否定ができなかったのは、ヒロくんにはいろんな話聞いてもらっているから。
「………そのキスマーク、なんなんだよ」
「キスマーク…?って、なに?」
「相変わらず…無知がすぎるというか」
おいで、と零が少しだけ落ち着いた声音で手を広げる。
今は何も考えたくなくて、零の腕の中に抱き着く。
「虫刺され…?」
「そんなわけあるか。ここ、…誰かに触られなかったか?」
「…あ、萩原さん」
「は?」
「あ、いや、…ちょっと、悪戯してきたから…多分その時じゃないかなって」
「……なんなの、お前」
疲れる、と抱きしめながら零が言うから…
「…そうだよね」
私といたら疲れるよね、とどこか納得してしまって。
「探してくれてありがとう…もう大丈夫だから、零もヒロくんがシャワーあがったら、入ってきなよ…ってバスローブそんな数あったかな…もらえるのかな」
「〇〇?」
「ごめんね、…面倒だし、疲れさせて…ごめん」
笑え、と言い聞かせて。
「〇〇?」
「〇〇、そのまま嘘つくつもりか」
ヒロくんが、慌てて上がってきたのが分かって。
…バスローブじゃなくて、濡れた服を着ていたけど。
「…今夜ここに泊まるのは俺じゃないから。すぐ帰るよ」
ヒロくんが、零と目を合わせて
「殴ったの含めて二つ貸しだから」
「…悪い」
「〇〇、降谷に触ってほしかったんだろ?降谷と、話したかったんだろ?」
私の言わない心を読むように
「降谷、…少しだけでいい、〇〇の話を聞いてやって」
キスマークについて俺は関係ないから、と付け加えて笑って。
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