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【DC】別れても好きな人【番外短編集】

第10章 二度目の初夜/警察学校組【降谷贔屓オール夢】


〇土曜日
やっと立ち上がる気になれたのは、もう何時間も経ってから。
腕時計で時間を確かめるけれど、日付を跨いでいて。
この時間にこんな格好で戻ったほうがトラブルになりやすいと思って帰るのは諦めた。
雨に濡れたせいか、夏だけど少しだけ寒かった。
冬だったら凍え死ぬかもな、と小さく自分に笑う。
今更雨宿りも、と考えるけれどこれ以上濡れて風邪ひいたなんて笑えない。
…ルームメイトにうつすことを考えれば、大人しく暖かい場所を探そうと歩きだそうとした。

「〇〇!!」

やっと見つけた、と声がして。

「…ヒロくん」
「〇〇…っ」

頬をパンッ、と平手で叩かれて…抱きしめられた。

「心配した」

暖かくて、ヒロくんも雨で濡れていて。
汗と雨で、シャツに張り付いている。

「ゼロも探してる、…すぐに帰ろう?」
「…零には、会いたくない」
「……なにがあった?あれから」

零に会ったら、泣いてしまう。
別れたいと言われたら、受け入れるつもりだけど…今、会ってしまったら別れたくないと言ってしまう。

「ヒロくん…もう、やだ…っ…」

零のことばかり考えてしまうのは、もう嫌だ。
零のことでこんなにも苦しくて悲しくて…それでも、会いたいと思ってしまうことが嫌だ。

「寒いし…苦しいしっ、頬も痛いし…」
「…ごめん、それは俺のせいだな」

手加減できなくてごめん、と言われたけど…十分手加減してたと思う。
ただ、ヒロくんに叩かれたことが初めてですごく、痛い。
もう一度帰ろうと繰り返すヒロくんに首を横に振った。

「…それなら、どこか雨宿りできるところに行こう?」
「………わかった」

ヒロくんがタクシーを捕まえて、濡れていることを謝罪して近隣のホテルにと言われ…
ヒロくんはビジネスホテルくらいの気持ちだろうけど、深夜濡れている男女が行くホテルなんて普通のホテルなわけがなくて。
到着したホテルは、見た目はカジュアルだったけごはっきりと【宿泊】と【休憩】の料金が分かれていて。

「…なにもしないから」

大丈夫、と言われても。
ヒロくんが私の手を繋ぎながらホテルの部屋に入っていく。

「〇〇、先にお風呂入って」
「…ヒロくんも、冷えちゃうよ」



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