第10章 二度目の初夜/警察学校組【降谷贔屓オール夢】
「〇〇のアリバイも何とかしておくから、泊まることになったら連絡して」
「…ヒロくん、保護者みたい」
「そのつもりだから」
くす、と小さく笑って。
「だから、〇〇を泣かせた降谷には少しだけお仕置きした」
「…ヒロくんが保護者なら、頼もしいや」
「多分、寮にはいないから。俺が寮のほうを探す。だから〇〇は、他の場所を探して」
ありがとう、と言って零がどこに行ったのか分からないまま走る。
零に会いたい。
電話をしても出なくて、ヒロくんからは寮にいないと連絡が入った。
零に会いたい。
会って、謝りたい。
最初は、恥ずかしさでついた嘘だった。
一度ついた嘘は、次に続く行為への不安が募ってしまって。
みんなに話を聞いてもらった。
「零、零…」
どこにいるんだろう。
探しても見つからなくて、電車に乗らない範囲で零と一緒に来たことがある場所を手当たり次第向かう。
電車に乗ったら、きりがなかったから。
「零…どこ」
私は零に会って謝りたい。
本当は零が求めてくれることが嬉しいって伝えたい。
「…電車、乗るかな」
他に思い当たらない。
手当たり次第行くしかない、零に会いたいから。
『零に会いたいです』
電話に出ないから、メールで連絡をいれて。
どこに行くか悩んでいたら、改札の向かい側に零がいた。
…見知らぬ女性と。
咄嗟的に隠れてしまい、改札から零と女性がでてきて…女性が零の腕を組んでいる姿。
その二人がタクシーに乗り込んで、車を向かわせた先が…
「ホテル、あるじゃん…」
そんなに知識はなくても、ホテルがある方向くらい…分かってる。
零と付き合ってから、少しだけ意識するし。
「………帰ろ」
帰ろう。
零とは、ちゃんと話して…別れたいというなら、受け入れるしかない。
20過ぎた処女は面倒だって、ルームメイトと話したことをぼんやり思い出して嘲笑した。
雨が降ってきて、寮に帰らないといけないのに。
門限も消灯時間も過ぎても、私は寮に帰れなかった。
ヒロくんからたくさん連絡が来ていたけれど、折り返す気力もなく…そのうち、携帯の電源も切れていた。
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