第10章 二度目の初夜/警察学校組【降谷贔屓オール夢】
「…松田のこと、名前で呼んだの?」
「あー、…なんか、名前縛り?みたいに言われて…からかわれてたんだと思うんだけど」
「そっか」
相変わらず鈍感、とヒロくんが笑うから…
「…そんなに、私って鈍感?」
「どうした?」
「零をイラつかせた理由がそこにあるなら……せめて自覚くらい、できるようにしないとなって」
「………〇〇は、そのままでいいと俺もあいつも思ってるよ。ただ、〇〇が警戒心無いのは少し困るかも」
「でも、…みんなだよ?」
「そうだね」
分かってる、と言われて…
「〇〇は、ゼロが他の異性と仲良くしてたらどう思う?」
「どうって……少し、嫌かも」
零が定期的に告白されてるのは知ってるけど。
「それが〇〇のルームメイトだったら?」
「………困る」
「そしたら、どうする?」
「…零に冷たく当たっちゃうかもしれない」
「今のあいつは、それと同じだと思うけど」
「でも松田さん、私のことそういう意味で好きじゃない」
「あー……じゃあ、そのルームメイトとゼロが二人きりで出かけてたら?〇〇には言わずに」
ヒロくんが、私にわかりやすく例え話をするけど。
その話はすごく胸が、苦しくなる。
「……〇〇、まだ悩んでる?」
「…ヒロくん、今日は帰りたい」
「うん、わかった」
ブランコから立ち上がって。
「〇〇、金曜開けてて」
「え?」
「次の日休みの方が、ゆっくり話せるだろ?」
「……ヒロくんとお出かけ?」
「そんな大層なものじゃないけど、〇〇はまだ話し足りないだろ?」
「うん、……ヒロくんに、聞いてほしい」
ヒロくんが笑って手を差し出してくる。
その手に、手を重ねると優しく笑ってくれて。
「あいつらには上手く言っておくから、…明日はいつも通り接してやれよ」
「…うん」
ヒロくんを好きになってよかった。
そう思える優しさを、与えられた。
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