第10章 二度目の初夜/警察学校組【降谷贔屓オール夢】
零以外の人とデート、したことない私。
電車に乗って、何駅か先の少し栄えた場所に着いた。
早退した私たちの変装だと言って同じ形のサングラスを買って、ついでに服も着替えさせられた。
なんとなく、お揃いっぽい。
鞄と着てきた服をロッカーに預けて、貴重品のみを手元に持ち松田さんが先を歩くその後ろを追いかける。
「あ、あれ食べたい」
限定のソフトクリームが売ってあるワゴン車。
「いいけど、並んでね?」
「並ぼ?陣平さん」
「…そうきたか」
仕方ないと言って、サングラス越しに目を合わせて笑われた。
30分ほど並んでソフトクリームを一つ買う。
「松田さんはいらないの?」
「いい、貰うから」
私が手に持ち舐めていたソフトクリームに松田さんの顔が横から近づいて、舐められた。
「…甘」
舌が、触れ合った気がして。
「おっと、危な」
ソフトクリームを落としそうになった私の手を重ねて。
「そんなに赤くなることか?」
「だっ、だっ、だって…っ」
「一口食べただけだろ」
そうじゃない。
食べたことじゃなくて、舌が…っ、と思うのに…あまりにも飄々とした態度に私の気のせいだったと思うことにして。
「松田さんの彼女、大変そう」
「“陣平”」
「陣平さん…って、言い難い」
「呼び捨てで良いけど」
「男の人を呼び捨てするの苦手」
ソフトクリームが美味しい。
今はそれで良いやって考えるのをやめた。
「花より団子」
「うるさい」
「…〇〇が言ってた悩み事だけど、それ降谷に言ってやれよ」
「やだ」
「なんで」
「…そんなこと考えて訓練中にミスったとか、バレたくない」
「隠しててもあいつのことだ、話すまで追求するぞ…それに、降谷に触れたらそれ治ると思うけど」
「そんなに経験値高くない…それに…零が経験値高いから、合わせられない私に飽きたりしないかなって不安になる」
「ならないだろ」
「即答された」
「〇〇が処女って知ってたし」
「っ…普通に口に出して言うな!」
からかわれてるのは分かって。
これ以上取り乱したらもっと遊ばれると自覚した。
しばらく散歩のように歩いて、買い物をしたりした後。
零たちが帰ってくる時間の前に、寮に戻った。
…陣平さん、と呼ぶことはこれから先もないとは思うけど少しだけ距離が近づいた気がして楽しかった。
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