第10章 二度目の初夜/警察学校組【降谷贔屓オール夢】
○火曜日
朝から、なんだか変な気持ち。
零に触れたくて触れて欲しくて…キスしたいって思ってしまって。
「〇〇っ、危ない!」
訓練中に考え事は、するべきではない。
…煙草の匂い。
学校内って確か禁煙じゃ、と思いながら目を開けば白い天井。
「…ここどこ」
「救護室」
「あ、…松田さん?」
零は?
「降谷はお前が倒れて取り乱した挙句に無断で授業抜けたから呼び出し」
「なんで松田さんが」
「俺も体調不良で早退」
子供のサボる理由を言うのは、なんなのか。
「〇〇の荷物は萩原がさっき届けた」
「…考え事してた」
「みたいだな」
相談に乗るけど、と言われて…その言葉に素直に甘えて見ようと。
「…昨日、…零とキスしてから……なんか、おかしくて」
「おかしいって?」
「さわって…ほしいって…」
げほっ、と咽せられて。
「朝からなんか、…そればっかで、変な感じで」
「…降谷も大変だな」
気づいたらミスってた、とベッドに座りながら膝を抱える。
「イイこと、…教えてやろうか」
「松田さん…?」
「“陣平”」
「…したの名前?」
「呼んで」
変な空気感。
少しだけ張り詰めたような感じに…顔を上げると、肩を押された。
「呼んで」
「……じんぺ…さん」
「もっとはっきり」
「陣平さん」
サンキュ、と顔が近づいてくるから驚いて反射的に目を瞑る。
「今日はそれ縛りだから」
「え」
「降谷のこと、忘れさせてやるから」
デートしよう、と耳元で囁かれた。
「…からかわないでください…っ」
「からかってないけど」
「松田さんっ、離してっ!」
「〇〇が抱えてるその悩み、解決させてやれるけど」
…なんだか、意地悪で。
顔を逸らした首筋を、松田さんが舐めてきた。
「ひゃ…っ!?」
「汗の味」
「わかった!わかりました!!だから離れて!!」
鳥肌立ってんの、と笑われて。
体を起こして笑う松田さんに完全にからかわれた。
「今日の松田さん、なんか…強引」
「“陣平”」
「……なんで名前」
「降谷たちのことは呼んでるだろ?」
そうだけど、零のことは…
「困った顔、可愛いな」
「…っ、…松田さんの馬鹿」
陣平、と繰り返し注意されながら松田さんから離れて私の荷物と自分の荷物を片手に持つ。
「行くぞ」
そして、私の手を握ってきた。
→