第8章 夏の思い出/スコッチ・降谷【警察学校時代】
電話を切って、零が胸に触れてきて…
「…もしかして、つけてない?」
「その方が…綺麗に浴衣着れるって書いてあったし…」
「その姿を他の男に?」
「…そんな言い方、しないで…零に可愛いって…驚かせたかったの」
ヒロくんからもらった浴衣は、なんとなく零をイメージさせて。
零が浴衣の裾をめくって…指先で下着の上をなぞる。
「…良かった、下は履いてるんだ」
でも俺の前ならいらないよな、と言われて…零が指に引っ掛けて…脱がされた。
「っ…零…あの、ベッド…上なんだけど」
「……あー、…ごめん」
零が先に梯子に登って…私を引き上げるようにベッドに寝かされて。
「…帯、外すから少し腰浮かせて」
「零……」
零に言われるがまま…
腰を浮かせて、零が帯を緩める。
外しにくいからと笑って体を起こして向き合うように…キスをした。
「…すごく可愛いけど、…脱がしにくいな」
「…零…緊張、する」
「…隣に声聞こえるから?」
「ちが…っ……零に、抱かれるって…緊張する」
「……慣れるようになるよ」
これから先もたくさん抱くからと言われて…恥ずかしさと嬉しさで、頷いた。
前を乱暴にはだけさせて…零が胸元に舌を這わせる。
熱くて…
「〇〇〜!!」
バン、と突然開いた扉に甘い雰囲気はすぐに消えた。
「〇〇、起きてる?」
「…はっはい、起きてるよ」
「あーもう、聞いてよー……」
零が、抱きしめてくる。
ベッドから下を覗くように見下げれば、クラスメイトの女の子。
「っ…えっと、…お風呂これから入ろうと思うんだけど…一緒にどうかな」
「〇〇がお風呂誘うの珍しいね!分かった、絶対聞いてよ」
「うん、先に行ってて」
ルームメイトじゃなくて良かった、と思う反面。
「鍵閉めてなかったのか」
「…ご、ごめん」
「………ムカつく」
零が深呼吸して落ち着こうとするのが分かって…罪悪感。
「浴衣…また着て」
「うん……その…だから今日は」
我慢するしかなくて。
「…部屋もどるよ」
「零…あの、……週末…私から、キスして…良い?」
零はその言葉の意味に笑って頷いた。
部屋でパジャマに着替えたあと零をこっそり共有フロアまで送る。
不完全燃焼すぎる体は先を期待して濡れたけど…
次の約束が、気持ちを落ち着かせた。
【fin】
→おまけ