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【DC】別れても好きな人【番外短編集】

第7章 アンケ夢/降谷零【警察学校時代】


〇〇side

少し頭が重い。
…これが所謂二日酔いというものなのだと、自覚した。
重たい頭と瞼を開ければ、目の前には息を飲むほど綺麗な顔。
危うく声をあげそうになって、自分の口を両手で塞いだ。
…あれだけ私のことを嫌ってる人にどうして抱きしめられてるのか。
どうして……私は彼の腕の中で眠っていたのか。
一夜の間違いでもあったのか、と布団の中の自分の服装を確認すれば昨日と変わらない姿。…下着も、外れてないし…ズレてもない。

「……〇〇…?」

どうかしたか、と寝起き独特の掠れた声が耳元で囁く。
…彼氏でもない人と寝たなんて、…いや、ただ寝ただけだけど…自分でも信じられない。
その上……降谷くんが、私を下の名前で初めて呼んだ事実。

「…あぁ、…そろそろ部屋帰らないとだよな」
「あ、…うん」
「こいつらまだ寝てるし…共有フロアまで送ってく」
「………うん」

歯切れが悪い返事。
恥ずかしさが…勝る。

「…降谷くん、わたし…その昨日…」

はしたないこと、してしまいましたか。
みんなに迷惑かけましたか。
…これ以上貴方に嫌われたくは、ない。

「酔って眠りこけたから、俺のベッドで寝てただけだ。…俺のベッドの理由は寮長から隠れるときに近かったから……何もしてないから安心しろ」
「そっか…よかった」
「男のベッドに寝るって意味、わかるよな?」
「…ごめんなさい」
「仮にも女なんだから、気をつけろ」

はい、と言いながら…ベッドから起き上がる。
…夢の中で、降谷くんが甘かった記憶があって…なんだか態度の違いに悲しくなる。

「これ着て」

カメラ対策に降谷くんのパーカーを着せられて。

「今度返してくれればいいから」
「…降谷くんの匂いがする」
「洗濯してるけど…ごめん、臭かったか」
「あ、違くて…!……降谷くん、いつも…良い匂いするから」

パーカーも良い匂い、と言えば顔をそらされて。

「あ、ごめん…、気持ち悪いこと言ったよね」

くしゃ、と頭を撫でられて。
目線は相変わらず合わないままだけど。

「…お前、男と二人きりで酒飲むなよ」
「…え?…えっと……彼氏とかできたら、飲むと思うけど」
「は?」
「ごめんなさい飲みません」

…厳しい保護者みたい、と心の中で呟いて降谷くんにこっそり手を繋がれて共有フロアまで早足で向かう。



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