第7章 アンケ夢/降谷零【警察学校時代】
降谷side
…唇を重ねるのは少しだけ気が引けて、その唇を舐めた。
あまりにも、甘い味。
飲んでいたお酒が甘かったからか。それとも…〇〇の唇だったからか。
俺の行動にすら、何をされてるのか分かっていない酔っ払い。
「………無防備過ぎるだろ」
小さな声で囁けば、〇〇が擽ったそうに身をよじる。
「…俺が好きって言ったら…どんな顔する?」
無意識に出ていた言葉。
…首を傾げて眠そうな目で抱きついてくる〇〇に、唇を近づけようとした時…寮長が出て行く音。
〇〇のこんな顔を誰にも見せたくなくて、抱きしめ隠す。
「寮長行ったけど、外に出るのは今やめといた方が…って何したんだ降谷」
布団を捲れば抱きついている〇〇の頭を抱きかかえて隠す俺を見て、こいつらは呆れた顔。
「抱きついてるのはこいつだ」
どの口が、と言いかけるヒロを睨めば苦笑いを浮かべて。
「うー…るさい…」
文句を言う〇〇に、俺たちの声が自然とまた小さくなる。
「…寝かせとくか」
「降谷、間違っても手を出すなよ」
「朝起きたら〇〇のハジメテ奪われてるとかやめろよ」
「あ、起きた時に騒がないようなんとかしろよ」
「何もするわけないだろっ」
〇〇が好きなのは…明らかに俺じゃない。
分かってる。
けれど…
「…好きでもない男にしがみついてるのは、〇〇だからな」
暗い布団の中。
抱きしめて偶然を装い胸の柔らかさを指先で感じる。
想像より、…胸に膨らみがあって。
先に進みたい気持ちを理性で抑えながらも、もう一度…〇〇の唇を舐める。甘くて、堪らなくなる。
「んっ…」
〇〇から漏れる甘い声。
「「「「降谷」」」」
「何もしてないからな」
「降谷、布団から顔出せ」
「ここでヤったらシャレにならないからな」
「うわ…二人が気になって寝れねー」
「…お前らうるさい」
ふるやくん、…と、弱々しく小さな声。それが、眠りに落ちたこいつの声だと気づいたのは多分俺だけ。俺にしか聞こえてない。
〇〇の額にそっとキスをして布団から顔を出した。
「これでいいだろ」
「…落ち着かねーな」
「なぁ、いっそ全員で川の字とか」
「どこでだよ」
「ふざけてないでお前ら寝ろ」
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