第20章 一度きりのクリスマス。【警察学校組/オール+降谷夢】
地上が近づけば零が最後に、ともう一度キスをしてきた。
離れがたくて零の手を握れば、優しい笑み。
みんなのところに、と零が言って向かえばそこには誰もいなかった。
ヒロくんが言った通り。
「…どうしたい?」
零が私の顔を見て
「どっちでもいいよ、俺は」
どっちでも、その選択肢は…
ホテルか、このまま遊園地か。
「っ!!ばか!!」
「ははっ、冗談だよ」
デートしような、と手を引かれた。
零ともう一度ティーカップにジェットコースター、お化け屋敷にメリーゴーランド。それから、他にもたくさん回った。
陽が暗くなったころに、もう一度観覧車に乗ったときには向き合って座り、夜景に感動と興奮を抑えられずに零を見ればまたキスをされる。…二人きりになったらずっとキスされてる気がした。
それからは、なんとなく足は出口に向かって、そのままホテルに向かった。
夜ご飯が無かったら、たぶんそのまま抱かれていたんじゃないかと思うのは部屋に入ればベッドに押し倒されてキスをしたせい。
コートを脱がされて、マフラーをするりと首元から抜かれて、止まらない口づけに零の手が服の下から入ってきて、肌に直接触れてくる。
唾液を絡めながら糸を引いて唇を離せば、乱れる息が部屋に響いた。
「行こうか、レストラン」
「…零、…まだ、やだ」
「…駄目。これ以上は俺が我慢できない」
足りない。
甘えるように零の首に腕を回していた手に力を入れると、困ったように首を振られた。
もっとキスがしたい。もっと、零に触れていたい。
「お風呂は、一緒に入ろうな」
「…それは、やだ」
「〇〇は嫌ばっかりだな、今日」
揶揄うように零が言うから渋々回していた手を離した。
少しも離れたくない、そんな風に思うくらい甘い空間で。
ディナーは目移りするくらい美味しいものばかり。見た目もとてもお洒落で、テーブルマナーを気にしなくてもいいように用意された個室の空間には本当にみんなに感謝しかなかった。
「みんなに、お返しちゃんとしないとね」
「そうだな」
「部屋に帰ったら、零にもプレゼント渡したい」
「…そういえばあいつらに先に渡してたな」
彼氏は後回しか?なんて揶揄うように言うから、思ってもないくせにと笑う。
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