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【DC】別れても好きな人【番外短編集】

第20章 一度きりのクリスマス。【警察学校組/オール+降谷夢】


貰ったカードキーは、財布の中にそっとしまった。
どうした?と手元を見られたときに、慌てて何でもないと言えば、そっか、と優しく笑われる。
みんなの顔を見れば、見透かしたように笑うから顔に熱が集まらないようにするのが必死で。

「腹減った!」
「ああ、そろそろいい時間か」

レジャーシートでも敷いて休憩しようと言う零は、準備満タンの遠足のお母さんみたいだなと思ったことは内緒にしておく。
伊達さんと松田さんで、シートを広げて、ヒロくんと萩原さんがお弁当を広げる。水筒から温かいスープをいれて、零が私に差し出してくる。
女子力高いなぁ、と改めて尊敬しながら零がいれたスープと、ペットボトルの飲み物を配った。零が用意したお弁当を広げるのは、見慣れた光景で大好きだけど、こういうデートのときだとどうしても…自分の料理力をあげないとなと思うのはいささかな参るものがある。

「いいんだよ、俺がしたくてしてるんだから」

口にしていなかったその不満と不安を零が見透かして私にだけ聞こえるように囁くから、耳を抑えて目を合わせれば優しい悪戯な笑み。
…本当、敵わないと思う。
いただきます!と勢いよくお弁当を食べ始めるみんなに圧倒されていれば、あれよこれよとみんなから紙皿に乗せられる。
そんなに食べられないと言えばだから俺たちに体力で敵わないのだと言われるとムキになるのもいつものことで。

「お腹いっぱいー!」
「しばらく動きたくねー」
「ははっ、食べすぎだよ」

お腹いっぱいだとアピールするみんなに笑っていれば、それが演技だと気づいたのは、ヒロくんと伊達さんからアイコンタクトを向けられたから。

「…零、あの」
「ん?」

観覧車に行きたい、みんなが休んでいることを言い訳に言わないといけないこと。
騙すわけではないけれど、騙すような行為だと感じてしまうのは…私の逃げだと、分かっている。

「みんなにっ」

勇気は、出なかった。

「みんなに、渡したいのがあって!」

声を張るような大きな声に、ヒロくん以外が驚いて。ヒロくんだけが、それを逃げたのだと分かっていて。

「ヒロくんには、さっき渡したんだけど、私からみんなにクリスマスプレゼント」
「〇〇」

ヒロくんの声が、少しだけ厳しい。
目を合わせられなくて、鞄を握りしめれば零が手を重ねて「どうした?」と訊いてきて。



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