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【DC】別れても好きな人【番外短編集】

第20章 一度きりのクリスマス。【警察学校組/オール+降谷夢】


「…ヒロくん、そんなに強引だったかな」
「少しくらい強引じゃないと、手遅れになるって学んだんだよ」

〇〇に、と付け加えられて首を傾げた。
何か危ないことでもしただろうか。そんなこと、した覚えない。

「開けていい?」
「…ヒロくんのは、このリボン」

水色。ヒロくんの目の色。
海のようなその瞳に写されるのが、好きで。
ラッピング袋を開けるヒロくんは、子供のようだと思った。

「ハンカチ?…へぇ、好きなデザイン。触り心地も良い」
「…イニシャルも、刺繍してるんだよ」
「スッゲー嬉しい」

ありがとう、と抱きしめられて。
…抱き、しめられて?
ヒロくんの胸の中。心臓の音が、はっきりと聞こえる。

「メリーゴーランド、乗ろうか」
「へっ…」
「俺と一緒に乗ってくれませんか、お姫様」

額を重ねられて、顔が近い。
手を取られて、引かれる力は拒むこともなく足が動く。
キザな台詞も、ヒロくんは似合う。王子様みたい、だと…その笑顔を見て、思った。
白い馬に私が、黒い馬にヒロくんが乗る。
大人になって乗るのは初めてだなと言いながら、照れ臭そうに笑うヒロくん。
動き出す乗り物に、ヒロくんが笑ってる。
その笑顔につられて笑えば、メリーゴーランドの柵の向こうから聞こえる声。

「おーいっ!」

軽く息切れをしている零が、勢いよく手を振っていて。

「零っ!!」

手を振り返せば零が笑顔を向けてくる。

「〇〇、さっきのちゃんと渡せよ」

回るメリーゴーランドで零の姿が見えなくなればヒロくんに声をかけられて、振り返る。

「私がプレゼントって付け加えて」
「…っ!!ヒロくんのエッチ!!」

あはは、と声を上げて笑うから、恥ずかしすぎて顔に熱が集まる。
ヒロくんがそんな冗談を言うなんて珍しいし、揶揄われてるのは分かったけど…

「ヒロくんのバカ…っ」
「ごめんごめん」

気づけば止まったメリーゴーランドから下りようとすれば、当たり前のように手を差し伸べられる。

「でも、頑張れよ」
「……ありがとう」

手を取られて乗り場から降りたら、零が拗ねた表情を向けていた。
行っておいで、と背中を押されて零に抱きつけば、拗ねた顔は一転して笑顔に変わる。
…私は、零が好き。
零のこの笑顔をずっと見れたら良いのに、と…そう思った。


みんなと一緒に。



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