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【DC】別れても好きな人【番外短編集】

第20章 一度きりのクリスマス。【警察学校組/オール+降谷夢】




ガタンッ、と一周を終え戻ってきたジェットコースター。
…死ぬかと思った。
伊達さんの手を痛いほど握ったまま、手を離せる気はしない。

「大丈夫か?死にそうな叫び声してたが」
「…ええ、死ぬかと思った…」

伊達さんに支えられてジェットコースターから降りれば、まだ残る浮遊感。…あー、でも、正直楽しかったのも変な気持ち。

「もう一度乗れば慣れると思う」
「…チャレンジを諦めないよな、〇〇は」
「でもちょっと休憩したいです、パパ」

誰がパパだ、と返されて。

「おいっ、大丈夫か…!?」

伊達さんの腕に抱きつくように乗り場を下りれば、後ろから零が駆け寄ってきた。

「零っ」
「苦手なら先に言え…あんな叫び声初めて聞いた」
「お恥ずかしい」

でも大丈夫だよ、と言いながらも少し休みたい。
大丈夫なのは本当。

「ゼロ、少し休憩しよう?」
「あぁ」

ベンチに座れば、三人で何か話してる様子の伊達さんと萩原さんと松田さん。

「ジェットコースター、苦手なんだな」
「…楽しかったけど、怖かった。もう一度乗ったら多分平気」
「まだ乗る気か」
「うん、もちろん」

苦手なままではいたくない。
そうか、と頭を撫でられれば優しいその掌に安心する。

「降谷くん、ちょっといーい?」
「わっ!?」

ベンチで座っていた零を、萩原さんと松田さんが背後から抱えて。

「お化け屋敷ちょっと付き合ってよ、降谷クン」
「〇〇はまだ休憩してるから俺たちだけで行こうな」
「〇〇、また後でな」
「は!?ふざけんな!!」

暴れる零を二人が引きずって、周りに迷惑かからないように伊達さんがカバーしてる。
賑やかな4人を見送って、深呼吸をするように深く息を吐いた。

「あれ?他は?」

ただいま、と言葉を付け加えながらヒロくんが温かい飲み物を差し出してくる。受け取って財布を取り出そうとすれば、頭をくしゃっと撫でられて沈黙。
…なんだろう、なんか…緊張する。

「〇〇と、こういうところ来れて良かった」
「……私も、みんなと来れて良かった」
「だよな」

ははっ、と笑うヒロくんの横顔は、なんだか寂しそうで。

「ヒロくん?」
「何でもないよ」

それ以上の質問は許されないような空気に、少しだけ気まずさを感じた。



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