第20章 一度きりのクリスマス。【警察学校組/オール+降谷夢】
駐車場に車を停めて、先に降りた零が手を差しだす。
その手を繋いで車から降りれば、なんだか照れ臭い。
マフラーを巻かれて、よし、と一言。
「〇〇、ほら行こうぜ」
零がもう一度手を繋ごうとしたのに、急に引かれた手は松田さんだった。
「俺たちともいちゃついてくれないと拗ねるよ?」
萩原さんに左手。
松田さんが右手に。
「お前らっ!」
「はいはい、降谷は俺たちと」
「ゼロもたまにはいいだろ」
よくない、と言いながら振り返れば零が伊達さんとヒロくんに挟まれていて…
「〇〇、何乗りたい?」
「え、あー…ティーカップ?とか」
「デートかよ」
「デートだな」
馬鹿にしてる、と思って睨めば二人はやけに楽しそうで。そんなの、私も楽しいに決まっている。
ティーカップにそのまま3:3で分かれ、乗り込んだ。
零をみれば笑っていて。
回り出す乗り物に、ハンドルを握りニッと笑ったのは私たち。
考えてることは同じだった。
ハンドルを全力で回せば、速度は上がる。
視界は松田さんと萩原さんしか見えない。
「無理っ!速い!」
「ははっ!まだまだ!」
「待て待て、松田!目が回る!」
明らかに騒がしい私たちの声は、響いていて。
乗り物が停まる頃には、笑いすぎてお腹は痛いし、視界はぐるぐる回って。
「おいっ、大丈夫か?」
「ははっ、…れ、い…っ、無理ぃ…笑う…っ」
「あーもう、立てるか?…ハギも松田も、やりすぎだ」
零に支えられながらカップから降りて、ふらつく足を支えられて零に抱きついた。
「あー、楽しかったぁ!」
「〇〇たちのとこだけ速すぎるし煩かった」
「視界がまだ回ってるから優しくしてくださーい」
大丈夫か?なんて聞かれると過保護だと野次が飛ぶ。
「松田さんも萩原さんも、もう大丈夫なの?」
「大丈夫、ヤワじゃないから」
「〇〇は三半規管も鍛えないとだな」
「うっさーいっ」
次は、と零に支えられるように歩いていた体を、大きな体に掴まれた。
「伊達さん?」
「次は俺とジェットコースターな」
「えっ、あ、うんっ!」
強引な伊達さんは珍しい。
頭をくしゃっと撫でられて見上げる。
「楽しいか?」
「…うんっ!」
はぁっ、と深い溜め息が背後から聞こえたのは、気のせいということにしておいた。
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