第17章 水着【降谷/警察学校時代】
「零っ…え、聞いてた?」
「聞こえてなかったけど。なに?」
「ううんっ、大丈夫!萩原さんにちょっと勉強教えてもらってただけ!」
後ろ手に雑誌を隠して。
「…勉強、ねぇ」
「とにかく!おやすみなさい!!」
…次の日。
結局、零に意見をきくなんていう難易度の高いことができず。
ルームメイトに聞いてみたらいろんな意見がありすぎてまとまらなくて。
店員さんに話を聞いてもらおうとした。
…水着ショップなんていったことが無かったけど。
ショッピングモールに辿り着いて心はすでに俺そうだった。せっかく貰ったけど、私にはまだ難易度が高いのだと思う。
「…帰ろう」
「なんで俺に声掛けないの」
尾行されてたことにはまったく気づいていなかったし、背後に立たれていることも気づけなかった。
「なんでここにっ」
「あいつらから聞きだした」
この辺で水着選ぶならという話は昨日ルームメイトとしていたから、あとはそこから聞き出したのだろう。
「そんなに俺を妬かせたい?」
「ちがっ…というか、それ理由にヒロくんには断られたし…」
「当たり前だ。ついでにルームメイトの子たちに言われたけど、招待券があるって?」
「………おしゃべり」
「〇〇が隠し事をするからだろ?」
「隠し事っていうか……恥ずかしいんだもん」
後ろからぎゅっと抱きしめられて。
「……全部俺が選んで、俺が最初に見たいって言うのは叶えてもらえない?」
外で耳朶にキスをしながら話すのはやめてほしい。
「顔真っ赤」
「…っ…私の好みじゃなかったら、絶対着ないからっ!」
「はいはい、大丈夫。〇〇に似合うものが一番好きだから」
手を引いて嬉しそうに前を歩く零に、胸が高鳴る。
…結局いつも、好きにされてしまう。
水着売り場には、たくさんの女の子と…私たちと同じように男の人を連れて一緒に悩んでいたりして。
「試着もできるって」
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