第16章 水着【安室(降谷)夢】
「露出は少ないのにするから安心してね」
「まぁ。〇〇に似合うことを優先したいですからね。……ところでどうして僕を誘わなかったんですか」
「どうしてって、梓さん休みの日にプールに行くから透さんはポアロでしょ?」
当然じゃない、と返せば少しだけムッとした表情で。
「女性二人でプールですか」
「大丈夫だよ、そういう子たちも多いし」
「行くのやめません?」
「やめません」
そうですか、と何か良からぬことを考えている横顔。
「風邪ひくのもなしだからね」
「そんなことはしませんよ。ポアロも大事ですから」
「それならいいけど」
ショッピングモールに着いて、水着売り場にむかう。
昔を思い出してなんだか懐かしい気持ちになるのは隣にあの頃と同じ人がいるから。
「せっかくですし、試着してもらえますか?」
「…ああ、貴方それ目的ですか」
見ても楽しいことないと思うけど、と付け加えれば悪戯っ子のような笑みを向けてくるから…いちいち心臓に悪い笑顔を向けないでほしい。
「…透さんは、私から離れないで」
その笑顔に周りからあの人イケメンという小声が聞こえるのはいつも通りだけど、正直気持ちが良いものではない。…零は見世物じゃない。
「…〇〇のそういうところ、可愛いですよ。昔と変わらず」
「あら?透さんは私の昔知らないんじゃないの?」
少しだけ垣間見せる“降谷零”の話に嬉しくなる。
「貴女と二人きりの時にそこまではっきり分けているつもりもありませんよ」
それもそうか、と思いながら零が手に取り見せてくる水着。
「これなんてどうですか?」
「フリルが可愛いね。でも、可愛すぎない?年齢的に」
「似合うから大丈夫ですよ」
「ん~…露出が気になる」
「〇〇は肌年齢若いと思いますけどね」
ぷに、と頬を指で突かれる。
「遊ばないで」
「すみません」
クスクス笑いあいながらワンピースタイプの水着が陳列している場所に向かっていくつか眺める。
「…見せるのはあまり好みませんが、でもせっかくですし、極端に隠すのも勿体ないと思いますが」
「珍しいね、絶対見せるなって言うかと思った」
「ええ、“安室”としてはそのほうが“らしい”かと」
「……へぇ」
本音は別にあるんだね、と理解すれば少し笑ってしまう。
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