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【DC】別れても好きな人【番外短編集】

第13章 心配【降谷夢/リクエスト小説】


「俺の命令に従わない理由は?」

くちゅ、と耳朶を舐められながら零が話す。
…やめて、と抵抗力のないか細い声を喉から絞り出す。
こんな場所だから抱いてくれないのだろうか。もう、零が考えていることなんてわからないけど…抱いてほしいと思ってしまう自分が何よりも嫌だ。
いつもなら、ベッドの上で零を求めれば応えてくれて。
優しくて、甘くて…嫉妬深い。意地悪だけど…求めるものをすべてくれるのに。

「質問にも答えないつもりか?」

なあ、と甘い声。
零の指が全身を服の上からなぞるように触れてくるのに、どこにも直接的な刺激を与えてくれなくて。
問いかけに答えようにも、耳朶に当たる吐息と声に…舌が、言葉を奪うから。
椅子を思い切り引いて、勢いよく立ち上がった。
ゴツン、と鈍い音を立てて零が椅子にぶつかり…尻餅をついて、零が私を見上げてる。抵抗されないと思っていたのだろう。その顔は、不意打ちを食らったような顔をしていた。

「私は…!零が…危ないこと、してるのに…っ…なにもせずに見ているだけなんて、できない…っ」

零を見下ろして。涙が流れるのは、零が中途半端に昂らせた体の熱のせいだって思いたい。

「毎回、零に待機命令だされて…今日だって…っ」

私だって、風見さんだって、公安のみんなが

「頼ってほしいって思ってる…!」

貴方に。
降谷零に。
一人で何でもしようとしないで。
零を見下ろして泣いている私に、尻餅をついた状態だった零が静かに手を伸ばす。
おいで、と優しい声。
意地悪じゃない、優しい声。
その伸ばされた手に頬を擦り寄せて抱き着いた。

「……頼ってるに決まってるだろ?」

今日のだって、と零が言葉を続ける。

「あれは俺一人で十分だった、他に周りの安全確保を優先するべきだと判断して…」

零の腕の中で首を横に振る。
それが、嫌なんだ。
私とまでは言わない。誰か他の人を…風見さんを

「零に何かあったらって思うと…考えると、体が自然と動いてしまう…」
「……心配、させてるんだな」

当たり前だ。
いつも、零が帰ってきてくれるか。顔を見ない日は連絡が入っていないか。
ちゃんと生きているのか…そんなこと、毎日考えてる身になってほしい。



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