第1章
…
裕くんにジェラートを頼んだ後、私は木陰のベンチに腰掛けて、歩き回って疲れた足の裏を休ませていた。
カラリと晴れた気持ちの良い日で、頬を撫でる風が心地よい。
裕くんとは、休みの日には大抵一緒に遊んでいる。友達とか彼氏と遊ばないの?ってよく聞かれるけれど、それとこれとは話が違う。
何というか、一心同体?分身?とにかく一緒にいると落ち着くし、誰と過ごしている時よりも楽しい。
休みの日に兄妹で遊ぶことって、そんなに変わっているかな?
私たちは母さんのおなかの中にいるときから一緒だったんだから、むしろ一緒にいない事の方が不自然に感じちゃうんだけどな。
あんまり、世間一般の感覚からしたら、理解されないのかもしれないけど。
そんなことを考えながら、手持ち無沙汰だったからスイスイとスマホをいじっていたら、不意に頭の上から、やけにイイ声で呼ばれたから意識を引き戻された。
裕くんの声にしては低いな、と思って顔を上げたら、そこにはちょっと大きめの男の人と、裕くんよりも少し小さめの男の人が立っていた。
誰?!と思ったけれど、それは向こうも同じ様子だった。