第4章 相似
「それにしても、青子許せないよ。
何度も盗みを繰り返すなんて!
その度に沢山の人が困るのに…
どうしてそんな酷いことが出来るんだろ!?」
「おいおい青子、何ムキになってんだ?その辺に…」
「いいのっ!快斗は黙っててっ」
中森さんはいつもの通り、自問自答を繰り返しヒートアップしていく。
幼馴染の黒羽くんすら、その勢いに舌を巻き、黙り込んだ。
正義感の溢れる熱弁を、いつもなら好ましく思うはず、なのに…
視界の影でゆらり、と揺れる黒羽くんの青みがかった瞳。
既視感を感じるその表情に、なぜか胸が詰まる思いで口を開く。
「でも、何か理由があるのかもしれない」
「…え?」
「怪盗キッドにも、何か大切な理由があるのかもしれないでしょ?
誰も、話を聞いてあげられていないんだもの」
盗っ人の話を聞く、だなんて。
自分でも何を突拍子のない事を、と思うけれど…それ以上に中森さんはショックを受けたのか、大きな目をじんわりと潤ませた。