第4章 相似
次の日の朝、登校してみるともうクラス中が、その話題で持ち切りだった。
私の父が美術館の館長である事は、前の事件で皆の知るところとなっている…好奇に満ちた目線を感じながら、席につく。
珍しく、前席の彼…黒羽くんも既に来ていて、はよ、と声をかけられた。
「…おはよう、黒羽くん」
くぁっ、と小さく欠伸をした、朝から眠たそうな彼に釣られて欠伸してしまいそうになるのを、必死に噛み殺す。
昨日もうだうだと考えていたら、寝るのが遅くなってしまった…
「おはよう、橙子ちゃん」
「おはよう、中森さん」
「大変だね。またキッドの予告があったって聞いたよ…
不安だろうけど、きっとうちのお父さんが何とかしてくれるからね!」
中森さんは私の考えていることなんて知る由もなく。
純粋そのもの、な表情で私の手をキュッと握ってくれる。
流石に罪悪感に駆られ、ありがとう、と言うだけで視線を逸らすと。
何故か、前の席の黒羽くんと目が合った――