第2章 姫の願い
「そういえば、貴女名はなんというの?」
「アンナと申します。」
「そう。いい名前ね。ずっと前からここにいるの?」
アンナは若く見える。30代前半くらいかしら、と推測してみる。
だとすると、長くても10年といったところか。
「12年前、私が11の時からここへ居させて頂いております。」
成る程、23歳か。11の時から奉公って、早くないか?
「そうなの。早いわね。」
「はい。私は家が裕福ではなかったので、早くから働きに出ていました。」
家庭教師の先生の言うことはよく聞いているし、そういう子がいる事はしっている。
アンナもだとは思わなかったが。
「そう。」
そんな国である申し訳なさと私の事恨んでいるかな、という不安で表情を暗くするにアンナは続けた。
「でも、魔王様はお優しいですし、働くのは大変でしたが楽しかったですよ。」
魔王様は優しい人なのね。自分が受けた印象と食い違う。
「魔王様は優しい方なの?」
「ええ、もちろん。ただ、、」
「ただ?」
「ただ、失礼ですが様に対する態度は少し厳しいかな、と。普段はもっと可愛らしく、お優しい方なのですよ。」