第2章 姫の願い
「魔王様と、おはなししたいわ。」
「何を仰いますか、姫様。旦那様にご迷惑をおかけする事はなりません。」
そっかぁ、と凹む。
話すのは、迷惑なのかぁ。
「私が話しかけたら、ご迷惑なのかしら・・・」
すると、冷静なメイドに若干の焦りが生じた。
「い、いえ。そういう意味ではございません。ただ、お忙しい方なので。何卒、ご理解ください。」
お忙しい方なのね。それは話している暇なんかないわね。
え?じゃあ、お暇な時は話しかけてもご迷惑にはならないのね!
「わかった。お忙しい時は話しかけちゃいけないわよね。じゃあ、貴女が私の話し相手になってちょうだいな。」
「えっ?私、ですか?」
「ええ、そうよ。暇で暇で仕方がないの。貴女は今忙しくないのよね?」
「はい。私でよろしければ。」
は嬉しかった。
メイドが話してくれるというのもそうだが、つい1日ほど前まで無表情だったメイドが
焦りや困惑とはいえ感情を出して来るようになったのだ。
こちらの方が余程人間らしいし、良い。
「さぁ、此処に座って。」
ベッドに腰掛け、隣を叩く。
「失礼します。」
何秒間かの葛藤の後、メイドはそういってベッドに腰を下ろした。