第16章 番外編 世界一幸せな・・・
そんな事を考えつつ食堂の扉を開けると、パンッという音とともに紙吹雪が飛んできた。
「魔王様、お誕生日おめでとうございます。」
わーわーと騒ぎ立てる館の連中の中心で俺に微笑む。
俺の誕生日をみんなが祝ってくれて、みんな楽しそうでじわじわと嬉しさが込み上げてくる。
「驚きました?みんなで今日一日頑張って準備したんですよ。」
嬉しすぎて言葉が出てこない。
みんな優しすぎる。俺よりも嬉しそうに祝ってくれるじゃないか。
「ありがとう。俺、今すごい幸せ。」
普通のことしか言えないけれど、それでもみんなが嬉しそうに笑ってくれる。
あぁ、ここにいられてよかった。
「じゃあ早速食べましょう!私、お腹空いちゃいました。」
綺麗に飾り付けられた部屋の、1番奥の席に座る。
右側には普段より幾分か楽しそうなクレイグ、左側には出てきた料理に目を輝かせるとそれを微笑ましげに見るアンナ。
そして周りに、楽しそうな館の者。
「食後にはケーキもありますからね。私が焼いたんです。半分以上料理長さんに手伝ってもらっちゃいましたけど。」
すごいでしょ、褒めてくださいと言わんばかりのの頭を撫でる。
たくさんの大事な人から誕生日を祝ってもらえるって、こんなに嬉しいことだったんだな。
「ありがとな、も、みんなも。絶対、忘れないから。」
今俺は、きっと世界一幸せだ。