第15章 最終章 大好きです、魔王様
「!」
私を呼び捨てで呼ぶ人なんて、王族か、魔王様かしかいない。
この声は・・・
「カイリ様っ!!」
バルコニーから身を乗り出し、下に飛び降りようとした。
もう何年も流していない涙が溢れだす。
「ーーっと、危ねえな。再開した瞬間に死なれちゃ困るんだけど?」
「あんなに高い塔から飛び降りても死ななかったんですよ?カイリ様に対する愛、舐めないでください。それに、カイリ様受け止めてくれたじゃないですか。」
「確かに、お前度胸と根性は半端ないし、2階から落ちたくらいじゃ死なないよな。」
「もう、馬鹿にしてるでしょう!」
「してねぇよ。 迎えに来るの、遅くなって悪かった。」
「本当ですよ。もう、カイリ様死んじゃったかと思って、心配したんですから・・・!」
「死んでねぇよ。降参したの。降参するとこ、お前に見られたくなかったし・・・」
「カッコつけすぎです。勇者が“倒した”って言うから、私てっきり。」
「まぁ、降参したんだから倒されたってのも案外間違ってねえけどな。結婚のこと、聞いてくれた?」
「え、あれってカイリ様だったんですか?」
「そ。あれから1年間、魔法使いとか怪しげな薬やとか駆け回って人間にしてもらって、そんで官僚としてある程度の身分までいったらお前のこと、もらおうと思ってた。」
「じゃあ、今は人間なんですか?」
「そゆこと。お前のためだかんな。お前のためだけに、人間になって、頑張って働いて・・・。お前が縁談全部断ってるって聞いて俺も断られるかもって思ったけど。」
「カイリ様」