第15章 最終章 大好きです、魔王様
「、縁談がきているぞ。」
「はぁ、またですか。私はどこにも嫁ぐ気はありません。」
「そんなこと。もう婚期を逃してしまうぞ。」
「いいんです。結婚しませんから。」
(私は永遠に魔王様を忘れたりはしないから・・・)
魔王様がいれば今頃結婚していたかもね、なんてことを考えて自嘲気味な笑みを浮かべた。
(そんなこと、考えても仕方ない)
「そんなこと言わずに。今度は国内の官僚だ。年齢は23、2年ほど前から驚くべきスピードで昇格した者でな、顔もなかなか・・・」
「聞きません、いりません。私は結婚なんてしません。」
「・・・。聞き分けのないことを言うな。お前は知っておるか?カイリという若者じゃが・・・」
「カイリ!?」
思わずその名前に反応してしまう。
「おぃ、知っとるか?いい青年だよなぁ。」
(馬鹿。そんなはずあるわけないのに。第一、魔王様は23じゃないし。)
ため息をついた。
いまでも思い出してしまう。
あの子供っぽい笑顔、が泣いている時に撫でてくれた暖かい手、愛しげにこちらをみる優しい瞳。
(あーあ、何も変わってないんだなぁ。)