第14章 二人で
「ここです。ここで、二人が。」
「そう、わかった。連れて来てくれてありがとう。もう帰って大丈夫。」
「どうかご無事で。」
涙目でアンナが微笑んだ。
「当たり前じゃない。」
そう笑って見せると、アンナは安心したように深々と頭を下げた。
は早足でここまできたので息が少しきれていたし、ドアに体当たりしたり鉄格子を押したり塔から落ちたりと疲れていたが、大丈夫、と気合を入れてドアをそっと開けた。
「魔王、そろそろ疲れてきたようだな」
「ふっ、そっちこそ。俺はまだまだいけるぜ」
「強がりやがって。いい加減降参したらどうなんだ?」
「しねえよ。俺は負けねえ。負けられねえから。」
「さっさと姫さま渡してくたばれ!」
勇者が剣を振り上げる。
魔王は避けたが、直ぐに次の一振りが魔王に降りかかってきた。
「危ない、魔王様!」
はとっさに近くにあった金属の杖を持って駆け出した。
魔王と勇者の間に入って杖で攻撃を受け止める。
「姫様!」「!」
魔王と勇者の声が重なった。
は勇者を睨むようにして言った。
「やめてください!仕方なかったの。私は大丈夫だから、父様のところへ帰って。」
「姫様、騙されているだけです。連れ去られて不安な時に少し優しくされて、つけこまれてるんです!」
「違う。本当の魔王様のこと知らないくせに、勝手なこと言わないで。
私だってつけこまれる程やわじゃないわ。」
「でも・・・」
「どうしても魔王様を殺さなきゃいけないなら、私を殺してからにしなさい。」