第14章 二人で
「姫様を?」
勇者の動きが止まる。
どうしようか迷っているようだ。
「魔王、貴様、姫様を誑かしたな」
「だから違うってば!悪く言わないで。魔王様は、私の誰より大事な人なんだから!何をしたって守ってみせるわ。」
強く言い切ると、魔王が奥歯を噛み締め、そして震える声でを呼んだ。
「なんですか?」
が振り向くと、魔王はごめん、と謝った。
「どうして謝るんですか?」
不思議そうにが首を傾げた次の瞬間、魔王が拳を握りしめ、のお腹に一発食い込ませた。
「!?」
とっさに歯をくいしばった。
頭が追いつかない。
(どうして、魔王様・・・?)
床が目の前に迫る。
魔王が抱きとめて、衝撃を防いだ。
は倒れこんだまま、身動きがとれない。
「貴様、姫様に何を・・・!!」
「悪い、。でも、そうだよな。大事な人だから、何をしたって守らなきゃいけねぇよな。」
「本性を表したな、魔王!」
魔王と勇者が何か言い合っている。でも、聞こえない。
意識が遠のいていく。ダメだ。魔王様、守らなきゃ。
どうしてこんなことしたのって聞かなきゃ。
ここでまおうさまと、くらすんだーー